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スルタンアフメットの絨毯屋①

かくして絨毯屋に連れてこられた僕。

店内は1階がアクセサリーや小物類を扱うフロアになっており、2階で絨毯やキリムを扱っているようだ。

青年は僕をソファに座らせ、「さぁくつろいで!」と言う。
そして約束通り、アップルティーが振舞われた。

しばらくソファでくつろいでいると、2階から青年の父親だというガタイの良い無愛想なおじさんが降りてきた。おじさんは日本語が喋れるようだ。

おじさんは「うちは絨毯の卸をやっていて、日本の企業に卸しているんだ。大塚家具とか。他にも個人のお客さんで、三井の社長さんとか、トヨタの社長さんとか、いっぱい日本人が買いに来るよ。」という。

胡散臭すぎる。

そして「良かったら2階で絨毯やキリム見ていきませんか?」と誘ってくるので、(まさか強制的に買わされるなんてことはないよなぁ)と思いつつ、とりあえず恐る恐る2階へ行ってみることに。

2階は部屋の隅に畳んだ絨毯やキリムが積まれており、部屋の中央には何もなく、これらの絨毯やキリムを広げるスペースになっている。

おじさんは、値段を言いながらキリムを何点か床に広げていく。
見ているうちに、玄関マットに使えるぐらいのサイズのものが(ちょっと良いなぁ)と思えてしまったが、値段は2万円いうので全然買う気にならない。

おじさんは続けてどんどんキリムを床に広げて行き、僕を安心させるために、「ついこの前も、大塚家具や無印良品にこのキリムを卸したんです。」と日本企業の名前を出す。

(どこの無印良品でこの柄物のキリムを扱ってるんだよ)という思いは胸にしまう。

ある程度キリムを床に広げたところで、「この中でどれが好きですか?」と聞いてくる。
後々気づくことになるが、ここで「どれが欲しいですか?」と聞いてこないのは、トルコでの常とう手段のようで、ここで欲しくはないけど好きなものを選んでしまうと、選んだものを買うみたいな雰囲気になり、値段交渉の話になっていくのである。

とりあえず「どれもいらない」の1点張りで通し、「欲しくなったらまた来る」と言うと、おじさんは渋々1階へと降りていき、僕は無事に絨毯屋から生還するのであった。

そして1階にいた青年は「困ったことがあったら、またうちに来てね。ケバブも食べてね!」と言い、僕を店から送り出した。

こうしてスルタンアフメット名物の絨毯屋とのやり取りは一旦終止符を迎えるのだが、絨毯屋の魔の手は、またすぐに忍び寄ってくるのであった…。

続く
by diecieuro | 2011-01-30 18:15 | 2011 ISTANBUL